西表島の行政と治安

 西表島は沖縄県八重山郡竹富町に属し、もちろん町内では最大の島です。竹富町といえば当然竹富島が連想され、西表島がどうして竹富町なのか疑問に思う方もあるでしょう。実は行政区分の竹富町は非常に範囲が広く、八重山の島々は石垣島と与那国島を除いてすべてこの竹富町に属するのです。つまり、文化とか人口的にまとまりのある石垣と与那国以外の島を十把一絡げにしてひとつの町にしたわけで、その名称として琉球王朝時代に八重山統治の役所が置かれていた竹富島の名前を持ってきたというわけです。ということで、竹富町役場が竹富島にあるのかと思ったらそうではなく、町役場は何と石垣島にあるのです。それは、竹富町のどの島からもいちばん交通の便がよいという理由からですが(離島航路はすべて石垣が起点となっている)、非常におもしろい行政形態ですね。なお、竹富町役場の将来の移転先として西表の大原が有力視されているそうです。
 西表島には大原、船浦、白浜に八重山警察署の駐在所があり、それぞれ1名の警察官が駐在しています。ときどきパトカーで島を巡回しているのを見かけますが、サイレンを鳴らして現場に急行しているのはほとんど見たことがなく、私が知っているのでは上原にベトナム難民船が漂着したときと、バラス島でダイビング中に事故があったときだけです。それくらい治安がよく、というか、人が少ないので事件や事故の原因がないのでしょう。
 2000年10月には波照間島で殺人事件があり、全国のマスコミで大々的に報道されましたが、たぶんあれは八重山始まって以来の出来事だと思います。内地ではああいう類の事件はどこで起こっても全然不思議ではないのですが、そんなことが起こるはずがない場所だったのであんなに大騒ぎになったのでしょう。都会の石垣は別として、その他の島では窃盗事件すらあまり聞いたことがありません。島社会が狭いので、そういう犯罪行為をやるとそこで生活していけなくなるのでしょう。西表も同じです。
 私は西表ではずっとカンピラ荘を利用していますが、現金などの貴重品もずっと部屋に置きっぱなしで、部屋の鍵などかけたことがありません。もちろんそういうことをおすすめするわけではありませんが、それくらい安心だということです。世界的に見れば、こんなところはまるで夢のようでしょう。ただ、この前の波照間の事件に象徴されるように、例えば石垣島でオウム真理教の指名手配犯が捕まったりと、最近では悪い方に様変わりしつつあるのも事実かも知れません。


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