採炭トロッコ用のレールの支柱
 現在では知る人も少なくなりましたが、西表島は良質の石炭を産出し、かつてはいくつかの炭坑がありました。そのひとつが、浦内川河口近くの支流、宇多良川の上流にある宇多良炭坑で、西表最大の炭坑でした。ここには炭坑夫たちを中心に大きな集落が形成され、映画館や芝居小屋までありました。現在の西表からは考えられないような賑わいでしたが、その反面、炭坑夫たちを奴隷のように強制労働させたり、また風土病のマラリアで多くの人たちが故郷に帰ることなくこの地で命を落としました。西表の炭坑は、資源の枯渇と石炭需要の減少によって戦後相次いで閉山し、現在ではその残骸がたくさんの犠牲者たちとともにひっそりとジャングルの中に眠っています。
 宇多良炭坑跡へは、浦内川の遊覧船乗り場から川沿いに広い道があり、10分ほど歩けばたどり着きます。また、カヌーをレンタルして宇多良川を遡って行く方法もあります。西表の美しく雄大な自然を楽しむのもいいですが、また別の一面の西表を知るという意味でこの場所を訪れてみるのもいいかも知れません。
機械小屋 建物の基礎
ジャングルの中に転がる食器 貯水槽
コンクリート製のレールの支柱
レンガの柱を覆うアコウ(絞め殺しの木)
マングローブの湿地に残る船のエンジンの残骸
 西表の炭坑についてさらに詳しく知りたい方は、三木 健という人の著による西表炭坑写真集iconという本がニライ社から出版されているので読んでみて下さい。この本はオンラインで購入できます。詳しくはリンクをクリックして下さい。また、同じ著者による沖縄・西表炭坑史iconという本もあります。
 saraさんが撮影された宇多良炭坑跡の動画がご覧になれます。Windows Mediaフォーマット(wmv)のストリーミングファイルで、Windows Media Playerで再生します。こちらをご覧下さい。ただ、ファイルサイズが大きくバッファー処理に時間を要しますので、再生が始まるまで少し気長にお待ち下さい。